薬局にいっていつも買うのはリップクリーム。
余り味がない物でべとべとしないタイプ。
「ゾーロ。」
いつも蜜柑畑で寝ているゾロにぐりぐりとそれを塗り付けてやる。
最初は嫌がって唇を拭っていたけど最近は慣れたのかされるがままにされている。
少しだけ光を放つ唇に満足してその場を離れる。
見えないところにいってからそのリップをそっと自分に塗ってみたりもした。
間接キスにときめくお年頃でもないけど、やっぱりやってみたくなる。
「ずいぶん熱心ね。」
ロビンに冷やかされたけどそんなの気にしてなんかられない。
「だって、重要じゃない?」
そういうと、まあそうね。と納得された。男どもは分かってないみたいだけど、これはとっても大事な事なのよ。
その夜、いつもの通りゾロが部屋にやってきた。
首筋にすりよって石鹸の匂いを胸いっぱいに吸い込む。
目が合って
吸い寄せられて
口付けて
はまれる柔らかな唇に思わず笑みがこぼれる。
少しだけ舐めて濡らして深く口づけた。
滑る唇は瑞々しくて甘い果実のよう。
「・・・・なんだよ。」
嬉しくて笑っているのがばれたのか、ゾロは不機嫌そうにこちらを見てくる。
「んー?やっぱ気持ちよくなるにはお手入れって重要だな。って思ってた。」
ゾロは訳が分からない、と言うように首をかしげた。
「女の子は肌に触れる物にはすごく気を使うのよ。」
耳もとでそう囁いてつるっとした唇を軽く噛んでやった。