女の子なら一度は着たいと思う白いふわふわのドレス。
高級なレースは惜し気もなく、ペチコートで膨らんだスカートの中に隠しきれない程の期待を込めて、愛する人をまつためのドレス。
「ナミさんはどんなのが着たいですか?」
水色の長い髪をゆらして少女が問いかける。
視線の先にはガラスの奥の白いドレス。
「ビビこそ。でもいいわね。ビビならどんなドレスでも作ってもらえそうじゃない?」
「・・・でも隣にいる相手は選べないかも知れないので。その点ナミさんは安心ですね。」
ビビはちょっと困った顔をしてこちらを振り返る。
ちょっとまずい事を言ったと自分を戒めた。
「私は特にいらないわ。」
「どうしてですか?は!まさかミスター・武士道はナミさんにそんな気がないのですか?」
「さあ?あいつがどう思ってるかなんて考えた事もないわ。」
私は隣の店にある服を手にとった。
「今私に必要なのはこっちの方だし。」
そう、欲しいのは心をときめかせる色とりどりの服。膨らんだスカートより、磨き上げた足を際立たせるタイトなスカート。期待をはらんだ危なげな胸元のラインを強調して、待つ女より待たせる女になる。
「ビビは?」
布きれに等しい服を自分にあてて、ウィンクをしてみせる。
「・・・私も・・・こっちで。」
ちょっと恥ずかしそうにビビがその服を引っ張る。
さあ、選びましょう。かわいい人を引き寄せる服を。
さあ、磨きましょう。あの人に美味しく食べてもらえるように。