W.D

 

初めてだったけどいやじゃなかった。
ちょっと強引なゾロが嬉しくて。もう、痛みのこととか全部忘れたわ。


でも、目がさめた後でゾロの顔を見るのが急に恥ずかしくなって、ついつい避けてしまった。


分かってるのかしら?ただの照れ隠しだって。


まあ、その後もさり気なくモーションかけられたけど、素直にYESって言ってしまうとヤりたがってる女。なんて思われそうで、都合よく生理になってみたり、断ってみたりした。


本当はもう一度・・・とは考えてはいるんだけどどうしても私から切り出せない。
そのうち誘ってくれなかったらどうしよう。なんて考えるけど、はしたないじゃない?女から言うのって。要は切っ掛けさえあればいいのよ。切っ掛けが。

 

「ナミさん。今日はホワイトデーですね。」
無邪気なお姫さまが話し掛けてくる。
「サンジさん、豪華なお料理作ってくれるんですって。」
「そう。」
サンジ君のお返しは大体予想ができる。でもゾロは・・・何もないだろうな。お金ないし。
「Mr.ブシドーからは何をもらうんですか?」
急にゾロの名前を出され思わず飲んでいたジュースを吹き出す。
「なななななななな、何が?誰が!?」


平静を装うとするとかえって不自然になってしまう。ああ、あたしって分かりやすい女。


「だって、皆にあげたんですよね。」


あ、そう、そういうこと。特に深い意味はないわけね。


「まあ、期待はしてないからいいの。」
「そうですか?」
不思議そうな顔でビビが首をかしげる。
「そうよ。あいつに期待するだけムダ。お金ないし、気はきかないし、女の扱い下手だし・・・。」
ついつい口から愚痴ばかりこぼれる。
あんまり言うとビビに怪しまれるので途中で言うのをやめた。
「そうなんですかー・・・。」
なんだかしゅんとしてるのは気のせいだろうか。


その日の食事はサンジ君スペシャルメニューだった。
これはこれで嬉しいのだが、やっぱりゾロから何かもらいたい。
ちらっと横を見ると食事もそこそこにお酒ばかり飲んでいる。
その様子に小さなため息をつく。


この分じゃ今日がなんの日か分かってないわね。

 


その夜、カウンターのお酒を確認しながらビビを待った。
珍しくビビの方からお酒を飲みたいと言ってきた。


・・・弱いくせに・・・。


酔っぱらったビビの姿を想像し、笑いが込み上げる。
「ナミさん。氷持ってきました。」
扉の方から明るい声がする。
「ありがとうビビ・・・・あら・・・?」
ビビの後ろから見覚えのある緑の頭が見えた。


ゾロだ。


急にバレンタインデーの事を思い出し、さっと顔が赤くなる。
それを気取られたくなくてわざと素っ気無い態度をとる。
「なんであんたがいるの?」
「わりいか。」
気に触ったのか眉間にしわを寄せる。
「一人で飲んでいたのでせっかくだから一緒に飲もうと思ったんですよ。」
ビビはいそいそとグラスを用意する。
「ま・・・いいけど・・・。」
あまり間近で見られると赤くなってるのがばれてしまう。
急いで背を向け、グラスの準備をしているビビを手伝う。
ほんとはすごく嬉しいけど、恥ずかしいからもう少し意地を張らせてもらおう。


「ちょっと、飲み過ぎよ!」
勢いよく飲むゾロから慌てて酒の瓶を取り上げる。
「いいじゃねえか。ほら、お前にもやるからおとなしくしろ。」
「あたしのお酒よ!」
「まあまあ、ナミさん。あ、氷持ってきます。ちょっとまってて下さい。」
そう言ってビビは器を持って椅子からおりる。
空になった瓶を眺めてため息をつく。


・・・高かったのに・・・。


ゾロはなんだかんだ言って舌が肥えてるのか高いお酒だけ好んで飲む。・・・しかも大量に。
「高かったのになあ。」
諦めて瓶をカウンターに置き、新しい瓶に手を伸ばした。

その手は不意にゾロに捕まれ、どきりとする。
「なにするのよ。」
つい口から言葉が出る。
「・・・まだいいだろ。それ、飲めよ。」
ゾロは目で先程注いだばかりのグラスをさす。
何考えてるんだろう・・・まさかここでなんて考えてないよね。
もう少しすればビビだって戻ってくるのに・・・。
「・・・飲むから離してよ。」
「いやだね。」
ゾロの言葉に手が強ばる。
ゾロは気にしていないのかグラスの酒を喉へ注ぎ込む。
「ビビが来ちゃうわ。」
「来たらなんだよ。」
ゾロの言葉に疑問が確信へと変わりつつあった。
「ビビから聞いたが今日はホワイトデーなんだとさ。」
「え?」
ゾロから聞き慣れない言葉をきいて目が点になる。
「だから、お返ししろってビビからつつかれた。」
「ビビが!?なんであんたに・・・まさか・・・。」
さっと顔が青ざめるのが自分でも分かった。
「なんで!?いつから?」
「・・・最初からだよ。」
「最初って・・・。」
「前の時、ビビに終わるまで戻ってくるなって言ったんだ。」
「な・・・なんてこと言うのよ!!!馬鹿!!」
私とゾロが部屋にいる間、ビビにどう思われたか考えるだけで頭の血管が5本くらいきれそうだ。
「いいじゃねえか。ゆっくりできたし。」
「馬鹿!もう!信じられない!!!!!!」
もう恥ずかしさと怒りのあまり力の限りゾロをたたく。
その手はゾロに捕まれ、そのまま引き寄せられる。気がつくとゾロの腕の中にいた。
「・・・やだ!ちょっと!」
「お返しは俺でいいよな。」
「・・・いいよな・・・って・・・何考えてるのよ!すけべ!」
「まあ、男だからな。こんなもんだ。」
「開き直らないでよ!!」
力の限り暴れるがびくともしない。
そうこうしてるうち、ゾロに顔を押さえられ、唇を塞がれた。
「・・・!」
身体に走るあの日の感覚。それにぞくりと身体が震える。
「・・・ビビが来ちゃう・・・。」
なんとか出た声は力なく響き、ゾロにキスをされる度に身体の力がどんどん抜けて行く。
「来ねえよ。」
そういうとゾロは私をかるく抱き上げ、ベッドへゆっくり横たえる。
その意味にはっと意識を取り戻し、なんとか思いとどまらせようと言い訳を頭の中で考える。
「皆が・・・。」
「聞き飽きた。」
その言葉に諦め、なるようになれと、ゾロの首に手を廻す。

 

ゾロの熱い手が背中に回されるのを感じながら、ああ、自分はこうなるのを待ってたと言う事を自覚させられた。

 

でも悔しいから絶対ゾロには言わないんだから。

 

 

ゾロバージョンへ

ナミバージョン。
このまま裏に突入予定。
現時点でまだ書いてません。