W.D

 

女ってのは面どくせえ。


嫌がってないのは分かるんだが、船は皆がいるから嫌だとかビビがいるからダメだとかで、触れもしねえ。
しかも街につきゃあ、生理だなんだと結局ヤレなかった。
なんだかんだ言ってバレンタインデーのあの時から一ヶ月ぐらいしてねえ。
溜まってるからヤルという(まあ、それもあるが)訳ではないがこのままでは精神面でも肉体的にもいいわけがねえ。
しかもあの意地っ張り女が自分から言ってくるなんて事は無に等しい。
こっちから誘ってやらないと・・・。と言ってさせてくれるわけではないが・・・。
どうした物か、俺は考え倦ねていた。

 

「Mr.ブシドー。」
暖かい日ざしが遮られ、ビビが俺を覗き込んだ。
せっかくの昼寝を邪魔されていささか不機嫌になる。
「・・・なんだよ・・・。」
「なんだよじゃありませんよ。今日が何の日か分かってますか?」
「知らねえ・・・。」
襲ってくる眠気に任せまた目を閉じる。
「もう!今日はホワイトデーですよ。」
「ホワイトデー?」
聞き慣れない言葉に俺の頭の周りに?マークが飛ぶ。
「そうですよ。ナミさんからバレンタインデーにもらったんですからお返ししないと。サンジさんなんか張り切って豪華料理作ってますよ。」
そういえばサンジが朝からそわそわしていた。そうか、そんな日か・・・。
「Mr.ブシドーは何をあげるんですか?」
「・・・そうだな・・・。」
俺は空をあおいだ。ナミが喜ぶ物なんて想像も付かない。
俺はちらとビビを見るとわくわくした顔でこっちを見ている。
「・・・何見てんだよ。」
「だって、最近ナミさん元気ないんですもの。この間、上手くいかなかったんですか?」
どうやらその経緯が知りたかったらしい。まったく好奇心旺盛なお姫さまだぜ。
「・・・いった。」
「じゃあ、なんで、もっとナミさんと仲良くしないんですか?」
それはナミが俺を避けてるからだ。と言いたかったがビビの顏を見て言うのをやめた。
「・・・お前は俺とナミにもっと仲良くしてほしいのか?」
身体を起こしながらビビに問うとビビの顏が明るく輝いた。
「はい。」
ビビの反応に困惑しながら俺はある作戦を思い付いた。
「じゃあ、協力しろ。」
「はい。いくらでも!」

 


「ナミさん。氷持ってきました。」
「ありがとう。ビビ。・・・あら?」
氷を持って入るビビの後ろに俺を見てナミがいぶかしげな顔を見せる。
「なんであんたがいるの?」
「わりいか。」
まったく、一回きりとは言え関係を持ったんだぜ。もっと色っぽい反応はねえのか!?
「一人で飲んでいたのでせっかくだから一緒に飲もうと思ったんですよ。」
ビビはいそいそとグラスを用意する。
「ま・・・いいけど・・・。」
ナミはくると身体を背けカウンターに歩いて行く。
その後ろでビビが俺に軽くウィンクをする。
・・・知らぬはナミばかり。


「ちょっと、飲み過ぎよ!」
そう言ってナミは俺から酒の瓶を取り上げようとする。
「いいじゃねえか。ほら、お前にもやるからおとなしくしろ。」
「あたしのお酒よ!」
「まあまあ、ナミさん。あ、氷持ってきます。ちょっとまってて下さい。」
そう言ってビビは器を持って椅子からおりる。
ナミは空になった瓶を名残惜しそうに眺めている。
ビビは俺の後ろを通り過ぎる瞬間、ぽんと俺の肩をたたいた。
「高かったのになあ。」
ナミは諦めたように瓶をカウンターに置き、新しい瓶に手を伸ばした。
その手は瓶に届く前に俺の手の中におさまる。
「なにするのよ。」
少し慌てたようにナミが言う。
「・・・まだいいだろ。それ、飲めよ。」
目で先程注いだばかりのグラスをさす。
ナミは戸惑うように俺と、手とグラスを交互に見つめる。
「・・・飲むから離してよ。」
「いやだね。」
一瞬ナミの手が強ばった。
それを無視してグラスの酒を喉へ注ぎ込む。
「ビビが来ちゃうわ。」
「来たらなんだよ。」
俺の真意を計りかねているのか戸惑いの表情は消えない。
「ビビから聞いたが今日はホワイトデーなんだとさ。」
「え?」
少し驚いたナミの顔。
「だから、お返ししろってビビからつつかれた。」
「ビビが!?なんであんたに・・・まさか・・・。」
やっと事態を理解したのか、ナミの顔が青ざめる。
「なんで!?いつから?」
「・・・最初からだよ。」
「最初って・・・。」
「前の時、ビビに終わるまで戻ってくるなって言ったんだ。」
「な・・・なんてこと言うのよ!!!馬鹿!!」
「いいじゃねえか。ゆっくりできたし。」
「馬鹿!もう!信じられない!!!!!!」
ナミは空いた手でぽかぽかと俺を殴る。
その手を受け止め、そのまま抱き寄せる。
「・・・やだ!ちょっと!」
「お返しは俺でいいよな。」
「・・・いいよな・・・って・・・何考えてるのよ!すけべ!」
「まあ、男だからな。こんなもんだ。」
「開き直らないでよ!!」
余りに暴れるのでナミの顔を押さえ付け、唇を塞ぐ。
「・・・!」
ナミはばたばたともがくが、続けているうちに大人しくなった。
「・・・ビビが来ちゃう・・・。」
「来ねえよ。」
大人しくなったナミを抱え上げ、ベッドへ運ぶ。
「皆が・・・。」
「聞き飽きた。」
もう一度キスをするともう何も言わず、首に手を廻してきた。


まったく、素直じゃねえ女を相手にするのは骨が折れる。


そんな事を考えながらナミの細い身体を抱き締める。
明日にはまた好奇心旺盛なお姫さまが結果を聞いてくるんだろうな。

 


全く、女ってのは面どくせえ生き物だ。

 

 

ナミサイドへ

「女の花道」の続き。
気がついたらもう4月。もーー。