DREAM

 

左肩に激痛を感じ、ナミは目をさました。
「いた・・・。」
シーツを見ると赤いシミができている。
どうやら寝ている間にかきむしったようだ。入れ墨から血が滲んでいる。
「いまさら・・・。」
自嘲ぎみに呟き、ナミはベッドを出て、薬箱がある棚へと向かった。
「よっと。」
薬箱をだし、中から消毒液と包帯を取り出す。
隣の船からはルフィのいびき声が聞こえる。
「気楽なものね。」
誰にいうでもなく呟くと血の滲んだ傷へと薬をつける。
「あ・・・つ・・・!」
焼け付くような痛みが走り、ナミが声を出す。
その時、自分の船が揺れた。誰かがこの船に乗ってきたようだ。
「おい。どうした?大丈夫か?」
ゾロの声。
ナミはほっと肩を落とした。
「大丈夫よ。」
ナミの声のする方にゾロの足音が近付いてくる。
扉が開けられ、逞しい男の身体が飛び込んでくる。
「ちょっと。レディの部屋に無断で入ってくるなんてどう言うつもり?」
ゾロの視線から左肩を隠しながらナミは言った。
「声がしたから来てやったんだろうが。・・・ん?なんだけがしてるのか?」
ゾロはめざとくナミの左肩に目を落とす。
ナミはそれを隠すように身をよじった。
「自分でやったの。」
「・・・ふうん。」
ゾロは戸口に立ったまま動かない。
ナミも諦めたのか薬箱を閉める。
「それがお前の過去ってやつか。」
ぽつりとゾロが呟く。
こういう時だけ感がいい。
「そうよ。悪い?」
ナミが挑むような視線をゾロに送る。
「いきてりゃ過去のひとつやふたつあんだろ。気にしねえよ。」
「そうね。関係ないもんね。」
ナミはくるりとゾロに背を向ける。
「・・・夢を見たの。目がさめたらこれをかきむしってた・・・。関係ないつもりでいたんだけどやっぱり・・・。」
ナミの声が、肩が震えている。
ゾロはゆっくりとナミに歩み寄り、椅子ごと後ろから抱き締めた。
「・・・なにすんのよ。」
特に抵抗するでもなく回されたゾロの腕を見る。
「別に。寒そうだと思ってよ。」
「変な慰めはいらないわよ。」
「しねえよ。薄っぺらな言葉でお前が癒されるなんてこれっぽっちも思ってねえよ。」
「じゃあ、なんで・・・。」
やさしく抱き締めてくれるの?
「・・・これぐらいしか出来ねえからな。」
ゾロはそれだけいうとナミを抱き締める腕にいっそう力を込めた。
ナミはそのあたたかさを心地よく感じていた。
いつかのあの日のように。幸福だったあの日のように。この男は優しく抱き締めてくれる。
「・・・ありがとう。もう大丈夫・・・。」
ナミはゆっくりとゾロの腕をほどいた。
ゾロの腕が離れると扉から入る風がいっそう冷たく感じた。
「じゃあ、俺は戻るからな。」
「あ、まって。」
ナミに呼び止められ、振り返る。
「・・・この事・・・ルフィには・・・。」
「言わねえよ。」
それだけ言うと扉を閉めた。その後、船が揺れ、ゾロがこの船からいなくなったのを感じた。

優しい男。
私はもうすぐ貴男達を裏切るのに・・・。


ナミはひとり音もなく涙をこぼした。

 

 

続く

2年前くらいに見た私の夢です。日記にも書いてます。
これを見てからゾロナミだったんですが
同士も少なく半ば諦めてました。
この内容(少し違うけど)本も出したなあ。(遠い目)