出合いの丘

 

ふとみると見知らぬ小高い丘にいた。


ああ、これは夢だ。と、瞬間思った。


景色はどこか曖昧で、肌に感じる風もどこか空々しい。


夢を夢だと思う事なんて珍しいので、その夢をもう少し堪能しようと薄い緑色の丘を歩き続ける。


耳をすますと遠くで子どもの泣き声が聞こえてくる。
声の方向へ歩いて行くとそこには小さな子どもが肩を震わせて泣いていた。
声をかける事もできずにそこに立ち尽くす。
そして、私の気配に気付いたのか子どもがくるりと振り返った。


顔はどこかぼんやりとしていてよく見えない。
夢と言うのに私は目を細めた。


「なんだ、お前。」
子ども特有のかん高い声が響く。
「泣き声が聞こえたから来てみたの。」
「泣いてなんかいないぞ!!」
そういうと涙でぐしゃぐしゃになった顔を袖でぐいとこする。
「なんで泣いてたの?」
「泣いてないって言ってるだろ!!」
むきになって抗議する姿が可愛くて思わず笑みがこぼれる。
「・・・俺の親友が今日、死んだんだ。」
ぽつりとこぼれる言葉に私は眉をひそめた。
「・・・・死んだ・・・?」
「ああ、くいなってやつだ。俺になんの断わりもなく死にやがって!!」
口では悪態をついているがその言葉には深い悲しみが込められていた。
「・・・そう・・・。」
「なぐさめんなよ!」
「慰めないわよ。私もお母さんを亡くしたの。だから、あんたの気持ちは分かるわ。」
その子どもの目線と同じ高さになるように隣に座る。
「そういうときは泣くの。泣いて泣いて、疲れたら寝るの。夢の中にきっとその人が出てきてくれるって考えながら寝るの。」
言いながら、母の明るい笑顔を思い出して目頭が熱くなる。
「な・・・なんでお前が泣くんだよ!」
驚いたように子どもが叫ぶ。
「泣いてないわよ。見間違いよ。」
涙を隠すように顔を逸らす。
「しょうがねえなあ、大人のくせに。」
そういって細く、筋肉もさほどついてない腕で私の頭をふわりと抱え込む。
その感覚はどこか覚えがあり、その安心感に私は目を閉じた。

 


「・・・。」
目を覚ますと、夢で感じた腕のと同じ感覚に包まれている事に気付いた。
顔をあげるとまだ夢の中にいる愛しい剣豪の姿。
その顔を見ようと身体を起こす。
「んあ・・・ナミ・・・まだ早ェだろ・・・。」
そう言って私の肩から落ちたふとんを手繰り寄せ、私を包む。
「やっぱり、ゾロだった。」
「あ?」
まだ眠い目を擦りながら不思議そうにゾロが声をあげた。
「夢でね、子どもが泣いてたの。親友が・・・くいなって子が死んだって。」
そういうとゾロが目を丸くした。
「なんで知ってる?俺、言ったか?」
ゾロが言うにはくいなはゾロの親友で、今持ってる刀も彼女の形見だと言う。
「もしかしたら本当に子どものころのゾロに会ったのかも。」
「んなわけないだろ。」
ついと横を向く仕種も夢で見たあの子どもと同じだ。
「ふふ、ゾロって子どもの頃からいい男だったのね。」
言いながらゾロに唇を寄せる。
「あ?」
訳が分からず、ゾロが間抜けな声を出す。
「・・・いつもいつも、優しくなぐさめてくれるでしょ?ありがと。」
固い胸に頬を寄せるとあたたかな腕が肩に回される。
「・・・なんだかよくわからんが・・・お前がいいなら・・・いいか・・・。」
もう語尾は眠気で夢の彼方に消え失せて、後には規則正しい吐息。
さっきよりも胸に頬をよせて呼吸をあわせる。


目を閉じるとさっきの景色。


こんどはどんなゾロに会えるだろう。


私はわくわくしながら夢の入り口へ入って行った・・・。

 

 

 

   

書いてる途中、色々思い出して涙が・・・。く・・・。
(お前が泣いてどうする)ほんとはゾロが変な薬飲んで
子どもになるネタとか考えたんですけどそれじゃ余りにも
余りにもなので夢オチ(ぎみ)
ナミちゃん幸せそうなのでよし。