美しい航海士へ捧ぐ

 

 

「どうしたの?その恰好?」
ちょうど見張り台から降りてきたナミが目を丸くした。
いつものおやじファッションはどこにいったのか、そこにいるのはファッション雑誌にでも出てくるような出で立ちのロロノア・ゾロだった。
「・・・色々とな。部屋に行っていいか?」
「え・・・ええ。」
どこかぎこちなくナミが答えた。一瞬その姿に見愡れて言葉を失った。心臓はどくどくと波打ち、顔が赤らむ。


女部屋の淡い光は、二人の姿をぼんやりと照らす。
光の具合でゾロの姿がやけに心を惑わせる。


酔っているのだろうか?そんなはずはない。


そんな事を思いながらグラスを用意する。
「・・・誕生日・・・。」
ゾロがぽつりと言った。
「え?」
「誕生日おめでとうだと。」
ゾロがどっかと椅子に腰を下ろしシャツの襟をくいと引っ張った。
「あ・・・。」
ナミはその意味を瞬時に理解する。
ゾロがこんな恰好をするなんておかしいと思っていたが、皆がプレゼントとしてゾロを贈ってきたのだったら納得が行く。
ゾロは何も言わずナミを引き寄せる。
ふわりとゾロの身体からはいつもと違う甘い匂いがする。
ナミの心臓はもう飛び出そうなくらい大きな音を立てていた。


「・・・悪かったな。何も用意できなくて。」
ゾロが申し訳なさそうに胸元に顔を埋めた。
その頭を撫でると、固い髪が軽い音をたてる。
「言ったでしょ?気持ちだけで十分よ。」
ゾロはふいと顔を上げ、ナミを見た。
その顔にくらくらするほど見とれた。


いつもよりカッコよく見えるのは服のせい?それとも今日は特別な日だから?


「・・・一応俺がプレゼントらしいんだが・・・。でもな・・・。」
「・・・そうね。ホワイトデーもプレゼントはゾロだったもんね。ちょっと芸がないかな?」
「だよな・・・。」
ゾロは小さなため息をついてまた顔を伏せる。


皆が用意してくれたプレゼント。ゾロとこういう関係と言う事を皆が知っていると言う事はかなり恥ずかしいものがあるが、ここはその好意に甘えるべきだろう。


「でもせっかくだからおねだりしょうかな?」
ナミの言葉にゾロの目が輝く。


なんだよ。早く言えよと目が言っている。


「・・・ゾロがいい。」
その言葉にゾロが驚いたように目を開く。
「ゾロが欲しい。私のことだけ考えて。ゾロのことだけ考えさせて。好きって言って、抱き締めて。」
後から後から言葉が出てくる。このシチュエーションに酔いしれるようにささやかな愛の言葉を紡ぐ。
「・・・そんなんでいいのか?」
「あら?けっこう贅沢だと思わない?ほっとくと夢の中に旅立っちゃう人に私のことだけ考えてって言ってるのよ?」
小首をかしげるナミはいつもより可愛く、その様子にゾロの口が弛んだ。
「こんなんでよければいつでもくれてやるよ。」
ゆっくりとゾロの顔が近付いてくる。

重ねられた唇からはため息のような息が漏れる。


「・・・好きだ・・・。」


唇に触れる言葉はナミの心を溶かしていく。


なんて素敵なプレゼント、なんて素敵な誕生日なのかしら。


ナミはその感触に酔いしれていった。

 

 

誕生日おめでとう!!いえーー!
プレゼントは剣豪(基本)このまま裏に続きます。
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