明日へ・・・。

 

7月3日。


それは大切な日。村を救おうと自らを犠牲にしてきた少女の誕生日。

 


ココヤシ村のはずれにある見晴しのいい丘。そこにひっそりと立てられた十字の墓標、そしてそこに佇む一人の男性の姿。
「ゲンさん。」
後ろから声をかけたのは快活そうな少女だった。
「・・・ノジコか・・・。」
「ここだと思ったよ。ほら、足りないんじゃない?お酒。」
そういって手に持った瓶をずいと差し出した。
ゲンの手に握られている瓶はもう空になっている。
十字の墓標は濡れて黒く光り、微かにぶどうの香りがする。
「お前がやったらいいだろう。」
「あたしはいいよ。毎日やってるから。」
「今日は特別な日だからな。」
ゲンは十字の墓標をそっと触る。
「わかってるよ。あの子の誕生日だ。」
一歩進んでノジコも墓標に触れる。


「元気でやっているようだな。」
ゲンは手に持った紙切れを地面に置いた。それはルフィとゾロのの手配書だった。
「ちょっと元気すぎるんじゃない?また賞金額あがったみたいだし。」
「それぐらいじゃないとあいつには耐えられんだろう。」
「違いない。」
あのじゃじゃ馬が。ゲンはほとんど聞こえないような声でノジコに言った。

 


「・・・やっと心からあの子の誕生日を祝えるな・・・。」
ゲンがどっかと座り込み、墓標に語りかけるように言った。


「毎年、この日になると気分がめいった。ああ、あの子はまた一つ年とった。何年・・・何歳になるまでこんなことを続けなければならないのかと・・・。」
「・・・。」
「よかった・・・本当によかった・・・。」
ゲンの肩が震え、絞り出すような声が響いた。
風がそよそよとそそいでゲンの帽子を揺らす。
もうそこには風車はないというのにからからと風車が回る音が聞こえてきそうだった。

 


「だったら沈んでないでさっさと祝うよ。」
そういうとゲンの頭に酒を勢いよく注いだ。
「こらあ!お前は!人が感動に震えていると言うのに!!」
「だから祝おうっていってるんじゃん。今年はあの子の本当の意味での誕生日なんだから。しめっぽくなっちゃもったいないでしょう!」
悪びれもなくノジコが言った。半分ほどになった瓶を差し出し飲むように促す。
「・・・まったく!お前らは本当にベルメールの子どもだよ。感傷的にもさせてくれん。」
ぶちぶち言いながら差し出された酒をあおる。


太陽の光が空に向けられた瓶に反射してきらきらと光った。

 


今日は街全体があの子の誕生日を祝う事だろう。

 


今までの悲しみを乗り越え、未来に向かって進んでいく姿を思い浮かべながら・・・。

 

ココヤシ村・・・。突発で書いたのでなんともいえないです。
皆に愛されるナミちゃんということで。