腕の中にお前がいるなんて嘘みたいだ。
疲れきって、まるで子供みたいに俺に身を預ける姿に、なんとも言えない気持ちがこみあげる。
オレンジ色の髪はさらさらと流れ、肌は透けるように白く、美しく調った顔は見るものを魅了する。
薄く色づいた頬を撫でると桜色の唇がけだるそうな声をあげる。
陶器のような肌に俺の無骨な手はあまりにも不釣り合いで苦い笑いがこみあげる。
どうして俺を選んだのかと何度も考えた。
気のきいた言葉もやれずお前に何一つしてやれていない俺を。
そう聞くとお前は笑ってこう答える。
だってゾロだもん。
それが答えなのか答えになってないのか分からないが、その言葉にほっとする自分がいる。飾らない自分がいいと言われているようで。
規則正しい吐息が胸元をくすぐる。
閉じた瞼にそっと口づけると、微かに身じろぎをしてまた俺の胸に頬をよせる。
その様子がたまらなく愛おしく、ありったけの力で抱き締めたくなる。
汗ばんだ背中をなで、さきほどの行為で砕けた細い腰を引き寄せる。
さすがに目が覚めたか眠い目をこすりながら俺の顔を見る。
その唇を塞ぎ、さらに腰を引き寄せる。
なに?また?
少々呆れたような声も甘い吐息に掻き消されていく。
俺はバカで、口ベタだからお前に俺の気持ちを上手く伝えられていないんじゃないかと不安になる。
だから呆れないで俺を受け止めてくれ。
これが俺に出来る精一杯の愛情表現なんだから。