ときどきずるいと思うの。


引き締まった身体とか大きな手とか。
その腕にすっぽり入ってしまうといやでも女って事を自覚させられる。
それが嬉しくもあるし、悲しくもある。


私もそんなに強かったらベルメールさんや村の皆をもっと早く救えたのかしら?


「なんだよ。」
指の腹でなぞるようにゾロの身体の傷跡をなぞっているとちょっとうるさそうに言ってきた。
身体をよく見るとあちこちに傷跡が見える。どれもこれも古い傷だけどよくみるとかなり深いのもあって少しお腹が重くなる。
「・・・痛そう・・・。」
少しだけ眉をひそめてみせとゾロは困った顔をした。少し慌てたように眉が動く。そんな仕種がすごく可愛い。そして、私が優越感を味わう瞬間。
「もう治った。」
ふいと顔を背けて枕に頬を埋める。
「うそ。・・・血の味がする。」
もっと困らせてやりたくて、舌先でぺロッとなぞると汗のと鉄の味がやけに口にざらつく。
「じゃあ、見んな。」
そう言うとゾロは私の顔をあげさせ、半ば無理矢理に唇を重ねてくる。
それについつい目を閉じてしまう。
はむ、と唇を甘噛みされ、お腹の辺りが急に熱くなる。
目を閉じていてもゾロが微かに笑ったのが分かった。
調子に乗ってねっとりと唇を舐められ、鼻と目にキスをされたら、もう私の負け。

頭の芯が溶けるような感覚が私を襲ってきて、もうゾロの事しか考えられなくなる。


ゾロにキスされると嬉しい。
抱かれるともっと嬉しい。
でも優位に立たれるようで嫌なの。
何でもいいからゾロに勝ちたいのに・・・。


「もう増やさねえよ。傷なんか。」
離れた唇でゾロが囁く。一瞬それを追い掛けて軽く唇が触れた。
「・・・嘘つき。いっつも怪我ばかり。」
うっすらと目をあけると至近距離に真剣なゾロの顔があった。
「もうしねえよ。俺に傷つけんのはお前だけで十分だよ。」
「私が?」
思い掛けない事を言われて首をかしげた。私が?確かにいつも殴ったりしてるけど怪我まではさせた事ないのに・・・。
「ああ。」
そういってゾロは背中をとんとんと指差した。
覗いてみると背中には無数の引っ掻き傷。
「・・・あ・・・。」
それの意味する事を知って、急に恥ずかしくなり顔をふせた。
「これだけでもう十分だ。まったく背中に傷つけるなんざお前ぐらいだよ。」
「もう。」
悔しいやら嬉しいやらでぴしと傷を叩く。


前に言ってたわね。背中の傷は剣士の恥だって。
私しかつけれないゾロの背中の傷。
そう思うと口元に笑いが込み上げる。


「・・・もっとたくさんつけてほしい?」
小首をかしげて笑いかける。
「ああ、いいぜ。好きなだけつけなよ。」
ゾロはそう言って私に覆いかぶさってきた。


厚い筋肉を肌で直に感じる。鍛え上げられた身体でどんな敵も倒してきた。
その身体に誰もつけれなかった傷を私がつけてる。
そう考えるとさっきまでももやもやした気分もどこかへ行ってしまった。


女ってのもなかなかいいかもね。


体中にキスを受けながらぽつりとつぶやいた。

 

気分転換です。
なんとなーく書きたかったのです。

ちょっと書き足し。03.2.26