夢の中 −ゾロサイド−


船に戻ったナミは何ごともなかったようにふるまった。
歩き方は相変わらずぎこちなかったが、それも数日で戻った。


あれから俺もナミもあの日の事を口にはしなかった。
ナミの痛みとともに忘れ去られていくかのように・・。

 

俺は空を見上げながらぼんやりと物思いに耽っていた。

あの夜の事はぼんやりとだが記憶に残っている。

の日は二人で店が潰れる勢いで飲み続けた。
俺もかなりいける口だがナミはそれ以上か。


酔いつぶれたら何されるかわかんないじゃない。
だってあたしはこんなに魅力的なんだもん。


そういってあいつは笑った。いつになくおしゃべりで、いつになく上機嫌だった。
俺もあいつの笑顔が見れてほっとした。
アーロンパークでは今にも壊れてしまいそうだったから・・・。


あんたと飲むと楽しいわ。他の皆じゃあたしが酔いつぶれる前にダウンしちゃうし。


そう言ったのは何件目の店だったか。
グラスに注がれたバーボンを飲み干してクスクスと笑った。


カウンターにおいた腕が胸を圧迫して眩しい影を作る。
それに変な感情を抱いたがバーボンとともに喉に押し込んだ。


久しぶりに酔っ払えそう。ゾロは?


頬を染めて俺に聞いた。


そんな事聞くなよ。ああ、酔っぱらってるさ。お前が可愛いと思うのも、抱き締めたいと思うのも全部酔っぱらってるせいさ。


アーロンパークで抱き締めて引き止めたかった。手を放したらどこまでも遠くへ行ってしまうお前をこの腕の中にとどめておきたかった。こんな事を思い出すのも全て酒のせいだ。


おれは仲間にそんな感情を抱いたりしない。

 


「何ぼんやりしてるのよ。」


ふと我にかえるとナミが俺を覗き込んでいる。
「まったく、少しは働きなさいよね。ぐーすかぐーすか寝て。脳がくさるわよ。」
「なんか用かよ。」
俺は寝返りうち、ナミから目をそらした。
「ごはんだから呼びにきたのよ。早くしないと全部食べられちゃうわよ。」
「・・・。」
俺はゆっくりと身体を起こしナミの後をついてみかん畑からおりる階段へ向かった。
「今日は珍しく魚が釣れたのよ。サンジ君、やっと機嫌がよくなってね。」
無邪気な顔で聞いてもいない事を喋るナミにいらつきながら話を聞く。
「それでね、ルフィったら・・・きゃ!!」
振り返ろうとして階段を踏み外したか、ナミの身体が傾いた。
「おい!!」
とっさに手をだし、ナミを抱きかかえた。


・・・いいよ。


頭の中を何かがかすめた。あれは・・・?


階段の途中でナミを抱いたまま数秒がたった。
「おい、怪我は?」
「・・・ない。ありがとう・・・。」
ナミの身体が離れる。腕に残る温もりがやけに寂しかった。
「ったく。そんなかかとの高い靴履くからだ。」
「うるさいわね!!何履こうが勝手でしょ!!」


またいつものように喧嘩をした。これでいい。


俺達は仲間なんだから。


そう自分に言い聞かせるが、腕に残る温もりは俺を責め立てる。
また今夜も眠れそうにない。

 

ナミサイドへ

小説を書く時は誰の立場で物を書くかちゃんときめないといかん。
たまに第一人称になったり第三人称になったり・・・。
いかんのう。続きます。
平井堅っぽいね!なんか。