夢の中12

 

「ナミさん!!なんでそんな男と!!!???」
戻ってきた二人を見て開口一番にサンジが叫んだ。
「昨日たまたま一緒になったの。ボディガード替わりに。ね。ゾロ。」
ナミはいつもの笑みを浮かべゾロを見た。
ゾロは不機嫌そうにそれには答えず目をそらした。
「そんな!!俺では御希望に添えないんですか!?ナミさん!」
サンジは目を潤ませながらナミの手を取る。ゾロは内心穏やかでない物を感じながら見てみぬ振りをした。
ナミはそれを横目で確認しつつまた笑顔で軽くサンジを受け流す。いつもの光景。


「機嫌がいいじゃねえか。」
船員が船に荷物を積むのを見ながらゾロがぽつりと言った。
「あたしが?」
ナミは不思議そうにゾロを見た。ゾロは嫌みのような言い方をした事に気付き頭をかきむしった。
「そう見えるの?」
ナミの声を背中に受け、ゾロは荷物を肩に抱え船に登る。
「ちょっと!」
後ろでナミの声が聞こえる。


我ながら情けない。


そんな事を考えながら軋む階段を振り返らずに登って行った。

 

昼間の騒がしさは嘘のように船は静まり返っていた。


日が暮れてくると皆また街の明かりの中に消えて行った。
サンジはまたナミに言い寄っていたが軽くあしらわれたようだ。
それほど気落ちしているように見えなかったので街でいい女でも引っ掛けたのか足取り軽く船を出て行く。


結局、俺とナミが残る事になった。


テーブルではグラスが淡く光を放つ。
俺はぼんやりと氷がグラスで放つ音を聞きながら宙を見ていた。


そもそもこのイライラの原因はなんだろうか。


ゆっくりとグラスの酒を飲み干し、自分の状況を考える事にした。


ナミを抱いたからか?いや、そうじゃない。


その事を思い出せないからか?それもある。でもそれだけじゃない。


ナミへの気持ちに気付いたからか?違う。


「・・・。」


空のグラスの中で氷が澄んだ音を立てる。


ナミの気持ちが分からない。


それが俺をいらだたせる。


かすかに覚えているナミの感触。


本当に「仲間」でいたいならあの時どうして俺に抱かれたんだろうか。

かすかな期待がぬぐい去れない。
「仲間」という言葉に隠された本当の意味を、ナミはまだハッキリと言ってはいないのだから。


足音が聞こえる。ナミだ。
キッチンのほうへ向かってくる。
扉が遠慮がちに開き、オレンジの頭がひょいと入ってくる。
「あんた一人?」
「見てわかんだろ?お前はでかけんのか?」
「今日はいいわ。部屋で寝る。あんたは?」
「見ての通りだ。」
俺はグラスをからからと振ってみせた。
「あっそ。」
ナミは俺の横を通り過ぎ、氷をグラスに入れはじめた。
「飲まないのか?」
俺が酒の瓶をすすめるとナミは首を横に振った。
「部屋で飲むわ。」
ナミの言葉がまたかんに触る。
「俺とはいやだって言うのか。」
ナミの手が止まる。無表情で何を考えているのか分からない。


まったく、たち悪い女だぜ。


「酔っぱらってるの?のみ屋のおやじみたいな言い方よしてよ。」
そういうとナミは氷を割りはじめた。
「まだ一杯目だ。」
「そう。」
興味の無さそうに言い放つ。
俺は眉間にしわをよせながらグラスに酒を注ぐ。


相変わらずのポーカーフェイスだな、ナミ。
でももうやめようぜ。
好きでも嫌いでもいい。お前の気持ちが知りたい。


「おい。」
「何よ?」
ナミが一瞬振り向く。
「仲間でいいのか?」
俺の言葉に表情がかすかに動いた。


もう少しだ。取れよ。その仮面を。


「いいのか?」
ナミは口を少し動かした。


言えよ。


「・・・いいに決まってるじゃない・・・。」
美しい顔に張り付いた仮面ははがれる事なく抑揚のない声だけがキッチンに響く。
気付くと俺は立ち上がっていた。
ナミはそれを見ておびえたように後ずさりする。
「何よ。」
「お前はそれでいいのかよ。」
「なんの話よ。いいにきまってるじゃない!」
ナミの声がかん高く俺の頭に響く。


言えよ。


「仲間って言ってたのはそっちでしょ!」


抱かれたかったって。


「それじゃわかんねえよ。」
喉の奥がつまるようだ。
「何がよ。」
あくまでとぼけようとするナミに俺は一瞬我を忘れた。


「抱かせろよ。」


俺は自分の行った言葉に驚いた。


何を言ってるんだ俺は。


ナミは一瞬驚いたように俺を見た。
それを見て俺は我にかえった。


そうだ。これで終わりにしよう。
断れよ。そうすれば俺もお前の事を考えなくてすむ。


しかし、かえってきた答えは予想外だった。


「・・・いいわよ。それで何か分かるなら。」


ああ、お前はわかってねえよ。どうして俺の心を惑わせる?


お前の一言で終われたんだ。


俺はナミを引き寄せ抱き締めた。
どうして俺に抱かれる。
これが答えなのか、それともナミも確かめたかっただけなのか。
どちらにしろ、俺はもう後戻りはできなかった。

 

は。

ああ・・・苦手な大人小説に入りそうな
予感・・・。
結構前回より日にち開いたので内容が噛み合ってない?