夢の中11

 

「ゾロ!起きなさいよ!」


ナミの声に慌てて飛び起きる。
「いつまで寝てんの!?チェックアウトの時間過ぎちゃうよ。」
ナミは乾いたシャツを差し出しながら言った。
「・・・おどかすな・・・心臓に悪い・・・。」
ゾロは手で顔を覆いながら安堵のため息を付いた。
「何よ。失礼ね!ほら行くわよ。」
ナミはさっさと扉へ向かう。
「おい、待てよ。せめて顔洗わせろ。」
ゾロは慌ててシャツを着ながらベッドから降りた。
「もう、早くしてよね。」
ナミは腰に手を当て頬を膨らませた。


「・・・ったく。こっちだって色々あんだよ。」
ゾロはのろのろとバスルームへ向かった。
鏡に映る姿はどこか疲れた様子で、覇気がなかった。
無理もない。夕べは隣に聞こえるナミの寝息でなかなか寝付かれなかったのだ。


がしがしと顔を洗う。
頬に手を当てると少しざらついている。
洗面台にあった剃刀をとり、ヒゲを剃る。
「ゾロ、まだ?・・・。」
ナミがひょいとバスルームを覗き込んだ。
ヒゲを剃るゾロを見て少し驚いたようだった。
「少しまってろ。今終わる。」
それを横目で見つつまた手を動かす。
「ひげ・・・生えるの?」
ナミが不思議そうに覗き込んできた。
「う・・・そんな近くによるな。」
ゾロは身を引いた。
夕べの寝息と今のナミとの距離でもう彼の頭はパニック状態だ。
「不思議。」
ナミは本当に不思議がっているようでまじまじとまだ泡の残るゾロの頬を見ている。
「もういいだろ。」
ゾロは鏡に向き直る。
「ねえ、剃らせてよ。」
ナミがおもちゃを見つけた子どものように微笑んだ。
「ああ?」
「いいじゃん。やってみたい。ね。」
余りに無邪気に微笑むので根負けして剃刀をナミに渡した。
「下に引くだけだぞ。切るなよ。」
「大丈夫。」
そう言ってナミはいっそうゾロに近寄った。
「う・・・。」
寄るなとも言えずゾロは目をそらした。上から見るナミの胸元はハッキリ言って誘惑以外の何ものでもない。
抱き締めようとする手を押さえ付けナミがやりやすいように少しかがむ。
「こう?」
ナミの持つ剃刀がゾロの頬をなぞる。
自分でやるのとはまた違う感触にぞくりとする。
「もういいだろ。貸せ。」
ナミから無理矢理剃刀を奪い取り残っているヒゲを剃る。
「面白かった。けっこう固いんだね。」
ナミは後ろできゃっきゃっとはしゃいでいる。
ゾロは複雑な気持ちで顔に残る泡を水で洗い流す。
「おら。行くんだろ。」
顔を乱暴にタオルで拭き取り扉へ向かう。
「ねえ、ゾロ。」
「ああ?」
振り返るとナミが真剣な顔でゾロを見ていた。
「なんで昨日来てくれたの?・・・仲間だから?」
ナミの言葉にゾロの心臓が跳ねた。


仲間だからって言ってほしいのか?それとも・・・。


ゾロは一瞬考え、
「・・・決まってんじゃねえか。誰だってそうするだろ。」
ゾロはナミの反応を待った。
「そう。」
そう言って一瞬顔を伏せ次の瞬間にナミは笑った。
「仲間だもんね。さ、いこ。」
そう言って扉を開け、さっさと出て行った。


「・・・そうかよ。仲間でいようって事か・・・。」


ゾロはぽつりと呟き、扉の外ではナミが唇を噛み締めていた。

 

はあ。

まだ続く。
いいかげんしつこい!
もうやめようかな・・・.