晴天の霹靂とはまさにこの事を言うんだろうか。
そんな事を考えながら目の前にある状況をなんとか整理しようと考えていた。
目の前には緑の髪をした仲間である剣豪の寝顔。
自分はなんとその腕の中。
恐くてふとんの中は見れないがお互い裸。
これはもう、考えるまでもなく・・・そう、致してしまったと考えるのが妥当だろう。
なんで?どうして?なにがどうなったの!?
ぐるぐると頭の中をそんな言葉ばかりが駆け巡る。
夕べは確かに目の前の男と酒を飲んでいた。
一件目の酒屋の酒を飲み干し・・・二件目・・三・・四の途中までは確かに覚えている。
それから先の記憶が全くといっていいほどない。
ナミはこれが夢であって欲しいと、そう願わずにはいられなかった。
「ん・・・。」
目の前の男がかすかに動いた。ナミを包む腕がその身体を確認しはじめた。
最初は触りごこちを楽しむように、そのうちにそれが女の身体だと認識したらしく、
「え!?」
すごい勢いで飛び起きて腕の中のナミを見てまたさらに驚いた。
「ナ・・ナミ!?なんでお前が・・・!?」
俺のベッドに。とでも言いたかったのか。口をぱくぱくさせている。
しかし状況を瞬時に判断したらしく、頭を抱え、考え込んだ。
「も・・・もしかして・・・俺達・・・。」
「言わないでよ!!なんでこんな事になってんのか私が聞きたいわよ!!」
ナミはたがが外れたように泣きじゃくった。
「わ・・な・・泣くな!ナミ!落ち着け!!ふざけて裸で寝ちまっただけかもしんねえだろ!?な!?」
女の涙に弱いゾロはうろたえ泣きじゃくるナミに頭からふとんをかぶせ、涙を拭いた。
「そ・・・そうよね・・・してるとはかぎんないわよね。」
やっと思考回路が動き始めたのか、ナミが落ち着いた口調で言った。
「そう、そうだよ、な。んなわけ・・・。う・・・。」
ゾロはナミの肩ごしに何か見つけたらしく、目線を固定し青ざめている。
「なに?なにか・・・。」
「わ!ばか見るな!!」
ゾロが止めるのも間に合わず、ナミのに飛び込んできた物は・・・。
「血・・・。」
シーツに赤く残る跡。それの意味する物は・・・。
「お・・・おい。ナミ?」
ナミは一点を見つめたまま微動だにしない。
「・・・死ぬ・・・。」
「あ?」
ぽつりとナミが不吉な事を口走る。
そしておもむろにまくらもとにあったゾロの刀を手にとった。
「恥ずかしくて生きていけない!ここで死ぬ!」
「待て待て待て待て!!!早まるな!ナミ!!」
それから小一時間程。
ゾロはなんとかナミをなだめ、とにかく話し合おうとお互いに身繕いをし、部屋の一角にある応接セットに向いで座った。
ナミはまだ泣いている。
その姿に罪悪感は感じる物のなにせ記憶がないのだからしょうがない。
「なあ・・・。」
口を開いたのはゾロだった。
「やっちまったもんはしょうがねえとして・・・。」
「なにがしょうがないのよ!!人の純潔奪っといて!!」
「だから!覚えてねえっていってんだろ!!」
ナミの言葉に逆ギレしゾロは大声で怒鳴る。
だいたいこれでゾロの迫力に気押される物だが相手はナミ。
そんなものは通じない。
「だいたいなんであんたなのよ!!いままで大事にとっておいたのにーーー!!」
そういってナミは泣き崩れた。
そんなもんとっとくもんなのか!?と思ったがあえて口にはせずにナミが落ち着くのをまった。
「悪かったな。俺で。それとも何か?エロコックのほうがよかったのかよ。」
「はあ!?何言ってんのあんた。なんでサンジ君が出てくんのよ。」
ナミの態度に半ばほっとしたようななんだかよくわからない感情がふつふつと湧き出てきて、それがかえって彼のイライラをつのらせた。
「とりあえず俺でよかったじゃねえか。誰かしらねえやつだったら死ぬまで輪姦されてどっかに売られてるぜ。」
「あんたって事がいやなのよ!!妊娠したらどうすんのよ!!どう責任とんのよ!」
かちんときたがこれ以上ナミの感情を逆なでしてもしょうがないので大きなため息とともにそれを飲み込んだ。
「安心しろよ。それはねえ。さっき確認した。」
「何がよ?」
「ちゃんと使ってたから安心しろっつってんだよ。な。だから俺でよかったろ。」
その言葉の意味をやっと理解したのか真っ赤になりながら手当りしだい俺に物を投げはじめた。
「な!何すんだよ!心配事が減ってよかったじゃねえか!!」
「もう!馬鹿!!!あんたなんか大ッ嫌い!」
子どもかよ!?とゾロは思ったがあえてそれは以下同文。
とりあえず宿にいてもらちがあかないので二人はチェックアウトし船に戻る事にした。