乙女の事情

 

化粧品売り場は相変わらず華やかだ。
元からそんなに化粧するナミではないが、その分基礎化粧には気を使う。
いつも使っている化粧水を見つけ、大量にかごへと入れる。
周りは友達同士で来ている女の子が大半だ。隣で同じように化粧水を買う二人の話声が聞こえる。
「ねえ、どう?最近?」
「え?何が?」
「彼氏と。」
「んーーーそれなりー。最近冷たくてさー。今日だって女の子と買い物って言ってるのに全然信じてくれないの。」
「あー、うちも。結構うざいよね。」
そんな話を聞いてナミは不思議に思った。


ゾロはそんな事を一言も言わない。さすがにサンジと二人だけと言うのには警戒するようだがそれ以上は何も言ってこない。


「他は?あっちはどうよ。」
「何聞いてんのよ!もう!」
「昨日も泊まったんでしょ?久しぶりで燃えたんじゃないの?」
「もう。エロくない?あんた。・・・もう聞いてよーー。」
ナミは耳を澄ませて二人の話に聞き言っていた。
女友達のいないナミにとってそういう話を聞くのは初めての事だった。
「ってわけよ。」
「やっだーーー!変態じゃん!」
気付くとナミは隣の女の腕を握っていた。
「な、何?あんた!?」
「・・・あ・・・、その話・・・詳しく聞かせてくれない?」

 


船から見下ろすとナミがうつむいて帰ってきた。
「おい、ナミ。」
呼び掛けると顔をあげたが、またすぐに顔を伏せて急ぎ足で船に乗り込んだ。
すぐさまナミは女部屋に駆け込み、買ってきた荷物をソファの上に投げた。


結局、先ほどの女の子たちと長時間話し込んだ。といってもナミが一方的に聞いてるだけだったが。


いままで海賊を騙す生活しかしていなかったナミにとって男と女の話などゾロとの関係上の事しか知らない。今日、女の子たちから聞いた話はその理解をはるかに超える内容だった。
その内容のすごさにまともにゾロの顔を見る事ができない。ナミはひとり顔を赤くし、ソファに突っ伏した。


「おい、ナミ。飯だとよ。」


女部屋の扉をたたく音がしてゾロの声が聞こえた。
ナミは慌てて返事をしてキッチンへと向かう。
その食事の間、ゾロの方を向く事ができなかった。
ゾロの目線がちくちくと刺さるが、無視無視無視と心で呟いた。


「きゃ・・・!」


不意にゾロの指が背中をなぞった。それにびっくりして声を出す。
「な、ナミさん?どうしたんですか?」
「な、なんでもないの!・・・落としちゃって。」
なんとか無理に笑いを作ると隣にいるゾロを睨み付ける。


ゾロはにやりと余裕ありげに笑う。


それに一抹の不安を感じ、椅子をゾロから離す。

 

 

続く

明るく楽しく。美味しく(?)