名前を呼んで

 

『こいつは賞金首だ!』


子供のころから聞かされていた言葉。


たまたま悪魔の実を食べて、たまたま海軍に目をつけられて、それで命まで狙わわれるなんて随分不公平な世の中ね。


誰もいなくなったカウンターの中。ロビンが一人グラスを揺らした。


今日は街に降りて二日目の夜。
可愛いクルー達はみんな夢の中。一人でお酒を飲むのなんて慣れてる。いまさら『仲間』なんて恥ずかしい言葉を吐いてその輪に加わる気など毛頭ない。
でも、今日は、今日だけはひとりではいたくない。
そんな気持ちで一杯だった。
部屋はそれぞれ一人部屋で、めったにない自分の時間を過ごしている事だろう。


そんな中、自分が入れる余裕なんてあるかしら?


ふっと口の端で笑った。


最後の酒を飲み干し、ロビンは席を立った。暗いホテルの廊下に自分の足音がやけに響く。
自分の部屋の扉を開くとふと、目の端に微かに開いてる扉が目についた。


「あれは・・・コックさんの・・・。」


中を覗いてみると、ベッドに横たわり、あどけない表情で寝ている。
「随分、不用心ね。」
そういって部屋の中に入る。ジャケットを着たままベッドに倒れこむように寝たらしく、布団すらかぶっていない。
ロビンはそっと布団の端を引き寄せ、その身体を隠す。
自分よりはるかに幼いその横顔に笑いが漏れる。
ベッドから離れ、扉へ向かうとサンジが目を覚ましたらしくロビンを呼んだ。
「起こしちゃったかしら?」
「いや・・・大丈夫です。あ、すみません。俺、開けっ放しでした?」
「不用心ね。じゃ、お休み。」
「あ、ちょっと待って下さい。せっかくだから何か・・・。」
そう言ってジャケットを脱ぎながら、ベッドから降りようとする。


それに目が止まった。

 


そういえば、一度抱かれた事があったっけ。

 


意外にがっしりした身体だったとか、女を抱くのに慣れた手付きだな、とかそんな事を思った気がする。


「ああ、氷全部溶けてる!俺、とってきますから待っててもらえますか?」
にこりと笑いかける顔に少し腹が立った。
「・・・。」
口の中でぽつりと呟くと、いとも簡単に男の身体がベッドに倒れこんだ。
彼の身体に咲いた花もそのままに私はそれに覆いかぶさるようにベッドに乗った。
「・・・お姉様?」
きょとんとした顔。その綺麗な顔を歪ませてやりたい。


私は能力者なのよ。いざとなればこのままあなたを殺す事だってできる。


「・・・飲むならこっちがいいわ。」
言葉も半端に強引に唇を重ねる。


意識を扉に集中させ、咲いた手でカギを閉める。


最初は戸惑っていたもののすぐに舌を絡ませてきた。
互いにその味を楽しんで、満足したところでゆっくりと唇を離す。
名残惜しそうな彼の顔。
腕は無数に咲いた手に拘束されていて、動かす事は出来ない。


といっても抵抗する気はなさそうだけど。


首に絡み付いたネクタイを引くと、するりと音を立ててベッドに落ちる。
「・・・お姉様・・・?俺・・・もしかして犯されちゃいます?」
楽しそうに微笑む彼にまた腹が立った。


どうして怖がらないのかしら?
わけ分からないままに拘束されてるのよ。普通の人間にとってはかなり異様な光景だというのに。


「だとしたらどうするの?」
「・・・いや・・・それは嬉しいんですけど・・・。」
「ど?」


「・・・どうせなら上がいいなv 俺、女の人に襲われるのって苦手で。」


無邪気な彼の笑顔に力が抜けた。


もう、この状況を楽しんでいるとしか言い様がない。
「・・・好きにすれば?」
ため息をつきながら手を消すと彼は嬉しそうに上半身を起こした。
「やった。」
にこにこと笑いながら捕まれていた手をさする。


人選を誤ったかしら?


この間までぼろぼろ泣きながらすがってきたくせに。
男っていつも思うけど現金よね。


そうこうしてるうちに腰を引き寄せられ、唇が重ねられる。
ついばむようなキスからやがてすべてを食らい尽くすようなキスへ。
軽く濡れた音が何度も響いた。
だんだんに頭の芯が溶けていきそうな感覚に溺れる。


彼なら・・・後腐れなくしてくれるからいいか。


打算的な考えを巡らせつつ、彼の首に腕を絡ませる。
身体に体重がかけられ、ゆっくりとベッドに横たえられる。
彼は唇を離すと、おもちゃをもらった子供のように笑った。
「やっぱり、こっちがいいな。落ち着く。」


意味わかってるのかしら?と思う程彼は楽しそうだ。


ハートが飛ぶ程うきうきしながらシャツのボタンをはずしていく。


やっぱり人選ミスだ。

少し呆れながら彼のなすがままにしていた。
下着に包まれた胸にそっと唇を落とされると、ぴくりと身体が反応した。
頬に暖かい手の感触。
さっきとはうってかわって優しそうな顔をして、彼が私を見ていた。


「どう呼ばれたい?」


その言葉にどきりとした。


賞金首でもミス・オールサンデーでもない私の名前。


「好きな名前で呼ぶよ。」


またにこりと微笑む。


やられたわ。やっぱり彼でよかったかも。


私もつられて笑顔を返す。
首に腕を回し、引き寄せ耳もとで囁く。


「ロビン・・・でいいわ。」


「そうか・・・ロビン。」


耳もとに響く声にぞくりとした。

 


もっと呼んで。私の名前を。

 


もっと求めて。私を。

 


私が私でいられるように、もっと強く。もっと激しく。

 


まるで永遠とも思われる至福の時を私は身体の底から味わっていた。

 

 

   
我慢できませんでした!!!!!
書いちゃいました!
マンガで描きたい気満々です!
いつか本にするぞー−−!(希望)
と、言うわけで表よりは見る人の少ない裏に持ってきたのでした。
続きは・・・・・・・・・はて?